HACCP(ハサップ)とは、食品製造の衛生管理を工程毎に細かく設定することで食品事故を防ぐための手法です。
アメリカで始まり、EU、カナダ、オーストラリアなどが1990年代から義務化していたのに対して、日本は先進国の中でも対応が遅れていました。
2018年6月に食品衛生法の改正法案が可決され、2020年6月にHACCP義務化法案が施行されました。
施行後1年間の猶予期間が設けられていましたが、現在は猶予期間も終了しておりHACCPは完全義務化となりました。
それまでにはHACCPに対応しなければなりません。
食品の製造・加工・調理・販売などを行う全事業が義務化となりました。
大手メーカーだけでなく、レストランや居酒屋などの小規模事業者も対象となっています。
HACCP対応のメリット(HACCP認証)
HACCP(ハサップ)に取り組むと、
自社の食の安全性を対外的にPRできます。
国内におけるHACCP認証では、①業界HACCP、②民間HACCPの2つに大別できます。
ただし、HACCPの義務化に求められているのは、HACCPに沿った衛生管理を行うことです。
①~②の第三者機関からの認証は必要としていませんが、認証を受けることでより徹底した衛生管理が行えるようになり、食品事故防止と共に対外的にもPRできることでしょう。
- 社員の衛生管理への意識向上
- 生産性の向上と利益の拡大
- 事故発生時の原因究明と改善対策がスムーズにできる
- 事故とクレームの減少
- 顧客の信頼度と企業イメージアップ
HACCP(ハサップ)に対応しないと、「改善指導」の対象となります。
HACCPには懲役や罰金を伴う罰則規定がありません。
ただし、HACCP対応していない場合、食品衛生指導員の巡回指導にて口頭指導が行われます。
口頭指導に従わない場合は、段階的な指導が行われることとなり、書面による指導、改善勧告、営業の禁止等の措置が課せられます。
HACCP(ハサップ)導入における課題とは?
改正された主な施設基準
ねずみや昆虫の侵入を防止できる設備がある
作業区分に応じた間仕切りがある
「空気の流れ」を管理する設備がある
結露、かび、水滴などを防ぐ換気設備がある
水栓は洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造である
汚染を防止できる専用の容器を使用している
組立式の機械器具は分解及び清掃しやすい構造である
適切な温度で十分な量を供給する給水設備がある
汚水の逆流で食品や添加物を汚染しない配管である
例えば、上記の対応が不十分な場合は、営業許可・更新時に、食品衛生指導員の指導対象となります。
「中小企業に新たな負担を課すような大幅な条例改正はできない。」との声が、食品業界の関係者からあがっています。
これは、厚生労働省から、都道府県や保健所が設置してある市区町村に対して、「HACCPの取組みに対して、新たなコスト負担が生じることがないよう考慮しなければいけない」という通達が出ていることが背景にあります。
つまり、食品関連事業者は、ソフト・ハード両面によって食品製造の安全性を確保していく必要がありますが、実情は、コスト負担は最小限に抑えなければいけないという乖離が生まれていることになります。
食品事業者に求められる姿
食品事業者は、食の安全に精通したプロとして、ユーザーの視点から①管理運営基準(ソフト面)を想定して、②施設基準(ハード面)を計画していく必要があります。
ISO22000、FSSC22000など認証を既に取得している企業では、より高いレベルの食品安全・衛生基準への対応が求められています。
失敗しない食品経営のポイントは、運営上、投資が必要なものに対して、本業の食品経営に投資を回すために、建物・設備にかける投資やトータルコストをできる限り抑えることが大切です。
過去の付き合い先企業に毎回依頼し、100%満足を得られていないケースは多くあります。管理運営面まで相談できる最適なパートナーに、アドバイスをもらうことをおすすめします。